「早くピアノを練習して!」
「姿勢が崩れているよ」
「指の形を見て」
「力を抜いてって何度言ったら分かるの?」
子どものピアノ練習を見ながら、つい怒ってしまうことがあります。
できれば怒りたくありません。穏やかに見守り、子どもが自分から練習するのを待てたらいいと思います。
でも、わが家も実際には怒ります。
練習をなかなか始めないとき。ふざけて真面目に弾かないとき。姿勢や手の形が何度言っても戻ってしまうとき。「自分で楽譜を読んでみて」と言っても、すぐ答えを聞こうとするとき。
毎日同じことを伝えているのに直らないと、こちらにも焦りが出てきます。

怒りたくないのに、練習を見ていると注意ばかりになっちゃう……。
この記事では、「親は口を出さず、先生に任せましょう」とは書きません。
私は、姿勢や手・指の形、足台、脱力といった基礎は、家庭でも毎日意識しなければ、なかなか直らないと感じています。
その一方で、親が何もかも指導しようとすると、親子ともにつらくなります。
そこでわが家では、家庭で見ること、先生に見てもらうこと、子ども自身にしてほしいことを分けて考えています。
「怒らないために何も言わない」は、わが家には合わない
ピアノの練習について調べると、「親は口を出しすぎない方がいい」「先生に任せた方がいい」という意見も見かけます。
もちろん、親が先生と違うことを教えたり、すべてを細かく指示したりするのは避けたいところです。
けれども、まだ小さい子どもが、毎日一人で正しい姿勢を保ち、手や指の形を意識し、体の力を抜いて練習するのは簡単ではありません。
レッスンで正しい形を教わっても、家に帰ると元に戻ります。それを次のレッスンまでそのままにしていたら、崩れた形で何度も練習することになります。
そのため私は、次のことは家庭練習でも毎日見るようにしています。
- 椅子の高さや座る位置
- 姿勢
- 足台に足が置けているか
- 手や指の形
- 肩や腕に余計な力が入っていないか
これは曲を上手に仕上げるための細かな指導というより、ピアノを弾くための土台です。
一度伝えればすぐに身につくものではありません。毎日何度も意識するうちに、少しずつ自分で気づけるようになるものだと思っています。
だから、怒らないために何も言わない、という方法は、わが家には合いません。
それでも毎日注意していると、親も子どもも疲れる

必要だから見ている。それでも、毎日同じことを注意し続けるのは大変です。
「背中が丸くなっているよ」
「手首が下がっているよ」
「指が伸びているよ」
「肩に力が入っているよ」
弾くたびに止めていたら、練習がなかなか進みません。子どもは「また注意された」と嫌になり、親は「何度言っても直らない」とイライラします。
姿勢や手の形を見ないのではなく、伝え方をできるだけ簡単にする必要があります。
たとえば、弾き始める前に一度、椅子、足、姿勢、手の形をまとめて確認する。途中で崩れたときは長く説明せず、「姿勢」「指」「力を抜こう」など、短い言葉で思い出してもらう。
子ども自身が確認できるようになってきたら、親が指摘する前に「今、どこを直したら弾きやすくなると思う?」と聞いてみる方法もあります。
毎日の基礎確認はやめない。ただし、親がすべて直してあげようとせず、少しずつ子ども自身が気づける形に変えていく。わが家では、そのバランスを探しています。
家庭で見るのは、姿勢・手・指の形・脱力などの基礎

家庭練習で親が見ることは、主に毎日の積み重ねが必要な基礎です。
練習を始める習慣
まずはピアノに向かうことです。
わが家では、朝と晩に1回ずつピアノに向かうことを習慣にしています。時間がない日は少しだけ、どうしても嫌がる日は触るだけでもよいことにしています。
練習を始めるかどうかを毎日一から話し合うと、親も何度も声をかけることになります。生活の中にピアノの時間を入れておくと、「いつ練習するの?」というやり取りを少し減らせます。
家庭練習の習慣については、こちらの記事に詳しく書いています。
弾く前の姿勢と準備
椅子や足台が合っているか。座る位置はどうか。背中が崩れていないか。手を鍵盤に置いたとき、肩や腕に力が入っていないか。
曲を弾き始めてから何度も止めるより、最初に確認しておく方が、子どもも意識しやすくなります。
手や指の形、脱力
手や指の形、脱力は、毎日の練習の中で意識していくものだと思います。
ただし、家庭で親が自己流の形を教えるのではありません。先生に教えてもらったことを家でも繰り返し、うまくできない部分は次のレッスンで先生に確認します。
家庭は「先生に教わった基礎を繰り返す場所」と考えると、親が先生の代わりになろうとせずに済みます。
曲の選定・曲想・仕上げは先生に見てもらいたい
親が家庭で毎日見る基礎がある一方で、先生に見てもらいたいこともあります。
- 今の子どもに合った曲の選定
- 曲の雰囲気や曲想
- 音の出し方や表現
- ペダルの細かな使い方
- 曲をどの段階まで仕上げるか
- 発表会やコンクールに向けた仕上げ
親が「もっと悲しそうに」「ここは強く」「この曲はもう完成」と決めるより、曲全体を見ている先生に判断してもらう方がよいと思っています。
家庭では、先生から言われたことを思い出して練習します。次のレッスンで先生に見てもらい、また家で取り組む。その繰り返しです。
親が曲想や仕上げまで背負わなくてよいと考えると、家庭練習で注意する範囲も整理しやすくなります。

毎日繰り返す基礎はおうちで。曲づくりや仕上げは先生に見てもらうんだね。
譜読みは、できるだけ子ども自身でしてほしい
譜読みについては、親が先回りして教えるより、子ども自身でした方がよいと考えています。
親が「これはド」「次はファ」と教えれば、曲は早く弾けるようになります。でも、それを続けていると、新しい楽譜を一人で読む力が育ちにくくなります。
時間がかかっても、まずは子ども自身に考えてもらいます。
- ト音記号か、ヘ音記号か
- 調号はついているか
- 拍子は何拍子か
- 最初の音は何か
- 音が上がっているか、下がっているか
- リズムをどう数えるか
- 指番号はどう書かれているか
分からないときも、すぐ答えを言うのではなく、楽譜のどこを見たら分かるかを問いかけます。
「何の記号かな?」
「基準になる音はどこ?」
「この音符は何拍?」
親が音を読むのではなく、子どもが自分で読むための手がかりを渡します。
自分で譜読みする習慣がつけば、いずれ親が横についていなくても練習できるようになります。すぐに曲を弾けることより、その力を育てる方を大切にしたいと思っています。
わが家で怒ってしまうのは、主にこんなとき
役割を分けて考えていても、怒らずに済むわけではありません。
わが家では、次のようなときに声が大きくなりがちです。
- 練習の時間になっても始めない
- 何度言っても真面目に弾かない
- 姿勢や手の形を意識せずに弾き続ける
- 自分で譜読みする前に、すぐ答えを聞く
- 同じ注意を何度も繰り返すことになる
どれも、「できるようになってほしい」という気持ちから始まっています。
それでも、怒った言い方をすれば子どもに伝わりやすくなるわけではありません。むしろ、何を直せばよいのかより、「怒られた」という気持ちの方が強く残ることがあります。
だから私は、「怒らない親にならなければ」と考えるより、怒りやすい場面をできるだけ減らす方法を考えます。
怒る回数を減らすためにできること
練習前に確認する
弾き始めてから何度も止めるのではなく、最初に椅子、足台、姿勢、手の形を確認します。
注意の言葉を短くする
長く説明すると、親の言葉が増えるほど子どもは聞かなくなることがあります。「足」「姿勢」「指」など、本人が意味を分かっている短い言葉で伝えます。
譜読みの答えを言わない
親が答える役にならず、楽譜の見方を問いかけます。時間がかかっても、子どもが自分で分かったところを大切にします。
家で決めなくてよいことは先生に聞く
選曲、曲想、表現、仕上げについて親子でぶつかりそうなときは、「次のレッスンで先生に聞こう」と保留にします。
親に余裕がない日は短くする
親が疲れている日や、時間に追われている日は、いつもより怒りやすくなります。そんな日は課題を全部こなそうとせず、基礎を確認して短く終えることもあります。
怒ってしまった後は、言い直せばいい

どれだけ工夫しても、怒ってしまう日はあります。
私も後から、「あんなに大きな声で言わなくてもよかった」と思うことがあります。
そんなときは、怒ったことをなかったことにせず、落ち着いてから言い直します。
「大きな声で言ってごめんね」
「姿勢は大切だから伝えたかったけれど、怒りすぎたね」
謝ることと、姿勢や指の形を見なくなることは別です。伝える必要があることは伝えながら、言い方がよくなかったことは謝ります。
その日の練習を続けられそうなら、気持ちを切り替えて少しだけ続ける。難しそうなら、いったん終わりにして翌日また取り組む。
一度怒ったからといって、これまで積み重ねた練習がすべて無駄になるわけではありません。
家庭で見ることをやめるのではなく、役割を分ける
子どものピアノ練習で怒ってしまうと、「親は何も言わない方がいいのかな」と迷うことがあります。
でも、わが家では、家庭での関わりをなくすことが答えではありません。
- 姿勢、手・指の形、足台、脱力は、家庭で毎日意識する
- 正しい基礎は先生に教わり、家で繰り返す
- 選曲、曲想、表現、仕上げは先生に見てもらう
- 譜読みは、できるだけ子ども自身で行う
このように役割を分けると、親が見るべきことまで手放さずに、抱え込みすぎることも減らせます。
わが家も、毎日穏やかに練習できているわけではありません。今でも怒りますし、同じ注意を何度も繰り返すこともあります。
それでも、基礎を毎日積み重ね、曲づくりは先生に相談し、譜読みは少しずつ本人に任せる。その繰り返しで、子どもが自分で練習できる部分は増えていくと思っています。

私も怒ります。家庭で見ることを全部やめるのではなく、親・先生・子どもの役割を分けながら、わが家に合う練習の形を探しています。
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